虫歯治療・小児歯科・歯周病治療・根管治療・予防歯科
虫歯治療・小児歯科・歯周病治療・根管治療・予防歯科
歯の表面のプラーク(歯垢:しこう)には細菌が存在しており、飲食物の糖分を摂取・分解して酸を出します。この酸によって歯が溶かされますが、人の唾液には酸を中性に近づける働きがあり、また、カルシウムやリン酸を含み、これらの作用で溶かされた歯は修復されています。しかし、糖分の摂取が頻繁であると、酸の緩衝や修復が追いつかず、歯が溶けた状態が続くことになります。その部分は放置すると崩壊していき、虫歯となります。初期の虫歯であれば、フロスの使用も含めた丁寧なセルフケアと、定期的なプロフェッショナルケアやフッ素塗布などにより、再石灰化や進行抑制が望めます。しかし、穴になるなど進行してしまうと、自然に回復することはなく、治療が必要となります。
乳歯も永久歯も虫歯の治療にとくに違いはありません。穴になっている虫歯は、削って金属やプラスチックなどで詰めるのが基本です。虫歯が進行すると、歯の神経にまで細菌が侵入してしまうことがあり、この場合、歯の神経を抜く治療が必要になる場合があります。さらに進行すると細菌が歯の根っこの先にまで及び、歯肉から膿などが出て、抜歯が必要になることもあります。
口の中で酸が作られるまでには、少し時間がかかります。虫歯予防には、糖分を摂取したら早めにうがいや歯みがきをして、虫歯の原因となる酸を取り除くことが最も効果的です。
初期段階の虫歯は自覚症状が現れず、日常的なケアを怠ると悪化し、やがて痛みを伴うようになります。むし歯は早い段階で治療を開始すれば、比較的簡単な処置で済みます。早期に見つけて早期に治療しましょう。
CO初期のむし歯
歯の表面に穴はあいておらず、「白斑」や「白濁」といった症状だけ認められる段階です。そのため、治療を必要としないことも多く、フッ素塗布などの予防処置を実施することで、歯の再石灰化をはかります。
C1歯の表面のむし歯
歯の表面はエナメル質で覆われており、虫歯はまずエナメル質に発生します。エナメル質が虫歯になると、光沢がなくなり白っぽくザラザラした感じになります。虫歯は上の歯と下の歯の噛み合せの部分や、歯と歯の間などに発生しやすく、この段階ではまだほとんど痛みはありません。
C2歯の内部まで進行したむし歯
エナメル質の内側には象牙質がありますが、虫歯が象牙質まで進むと虫歯の部分が黒っぽく見え、冷たいものや熱いものを食べた時に歯が痛むことがあります。
C3神経まで進行したむし歯
象牙質の内側には、神経や血管が密集した歯髄があります。虫歯がさらに進行して、歯の神経まで虫歯菌に感染してしまうと歯髄炎となり、歯がひどく痛みだします。こうなると、虫歯になった部分の歯を削るだけでなく、歯髄まで取らなくてはなりません。この段階まで進むと治療が終わるまで回数や時間がかかるうえ、神経をとってしまうと、まるで枯れ木のように折れたり割れたりしやすくなってしまいます。
C4歯の根まで進行したむし歯
虫歯によって歯の上の部分がほとんど溶けてしまい、歯の根に当たる歯根まで虫歯が進行した状態を残根といいます。このような歯の根だけ残った部分の先端に膿の袋ができることがあります。この膿の袋が炎症し腫れてきます。ここまで進むと歯を抜かざるをえなくなる場合が多くなります。
虫歯の予防、特にこどもの時期に虫歯の予防をすることは非常に重要です。
生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌は存在しません。その感染経路は周囲の大人からの感染が主となります。
以前から、親から子どもへの虫歯菌の感染を予防するために、スプーンやコップなどの食器の共有を避けるようにとの情報が広がっています。しかし、食器の共有をしないことで虫歯予防できるという科学的根拠は必ずしも強いものではありません。
また、生後4か月の時点で、母親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されている研究があります。食器の共有は離乳食開始時期の生後5~6か月頃から始まりますが、それ以前から口腔細菌は感染しているということになります。日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触します。そのため食器の共有を気にしすぎる必要はありませんが、お父さんお母さんがお口の中の環境を整え、菌の数を少なくすることは自分のため、お子様のため両方にメリットがあります。
虫歯は砂糖を頻繁に摂取すると活動が活発になります。糖質(主に砂糖)を取る量をコントロールしたり、毎日のブラッシング等でお口の中に糖質が停滞しないようにすることが重要です。
歯質を強くするために取り入れたいのがフッ素です。フッ素は歯質を強化し、虫歯になりにくい丈夫な歯を作る手助けをしてくれます。また再石灰化を促進し、歯垢(プラーク)の中にも作用して歯を溶かす酸が作られるのを抑える働きがあります。
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虫歯の早期発見
視診と定期的なレントゲン撮影により虫歯の早期発見に努めます。
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虫歯の管理
虫歯は治療が必要なものと経過観察できるものがあります。何でも治療するのではなく、経過観察できるものは進行しないように定期的に管理をしていきます。
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極力神経を取らない
虫歯の進行度合いにもよりますが、極力神経を温存する治療に努めます。
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痛みやストレスに配慮
麻酔を行う場合は表面麻酔を用い、麻酔液を体温と同じ温度まで温め、自動麻酔注入器を用いるなど、麻酔時の痛みに最大限配慮します。
小児歯科は成長発育期にあるお子さんのむし歯の予防や治療、歯並びの育成を専門に行う診療科です。
乳歯が生えはじめる生後6ヶ月ぐらいから、永久歯に生え変わり始める6歳ぐらいを経て、永久歯が生え揃う13~15歳までの時期であり、幼児から、小学生、中学生ぐらいまでの時期がその範囲となります。このころは、大人になってからも健康なお口で過ごしていくための土台となる、大切な時期です。
虫歯になりにくい口の中の環境を幼児期から整えてあげれば、その後のむし歯の発生を抑えることができます。
一方、幼児期から虫歯が多くできてしまった場合、虫歯になりにくい口の中の環境を作るのは困難ですので、虫歯ができてから歯医者に行くのではなく、虫歯になりにくい環境にしていけるよう、サポートしていきます。
また、虫歯ができてしまった場合、今後もむし歯になり易くなることが予想されるので、生活習慣や食生活の改善指導などから、なるべく虫歯になりにくいお口を育てていきましょう。
お子さんの顎の成長を視野に入れ、永久歯に悪い影響を与えないよう治療計画を立てながら診療を進めるのが小児歯科の大きな特徴です。むし歯の予防と治療、歯並びやかみ合わせの改善などを、成長に合わせて継続的に行います。
このようなお悩みや症状がありましたらぜひご相談ください。
乳歯は永久歯よりも柔らかいため、虫歯になりやすく、痛みなどの自覚症状もほとんどない状態で急速に進行します。歯の溝の奥や歯と歯の間から無症状で進行することもあり、外からではほとんど気づかないこともあります。また、乳歯がむし歯になると、口の中でむし歯菌が増え、新しい永久歯もむし歯になりやすくなります。
こどものむし歯の原因にはいくつかの特徴があります。まず、「歯みがきが上手くできない」ということです。歯の汚れ(歯垢)を落とすには、正しい歯のみがき方を覚える必要がありますが、その技術が未熟なため磨き残しなどが生じ、それがむし歯の原因となってしまいます。また、乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄いことも挙げられます。そのため、むし歯菌による浸食が早く、進行しやすくなります。乳歯が永久歯と比べて溝が多く深いことも原因の一つで、食べかすがたまりやすく、磨き残しも多くなりがちです。
むし歯には必ず原因があります。せっかく治した歯や新しい歯がむし歯にならないようにしっかり予防していきましょう。
むし歯ができてしまった生活習慣の中の原因を、ご両親と一緒に考えることから始めます。
その原因から、どのようにブラッシング習慣や甘いものの摂取習慣を変えていったらいいか?を指導します。むし歯を治しても同じ習慣が続けば、また数ヶ月後には新たなむし歯ができる結果となります。
むし歯が出来にくい口の中を育成するため、生活習慣の指導やフッ素の使用、シーラント処置などを積極的におこなっています。
幼少期のうちから歯みがきの習慣をつけることはとても大切です。お子さんが痛い思いをして歯みがきを嫌がってしまわないように、歯ブラシを少しずつ口に入れて、口の中を触れる感覚に慣れさせていきましょう。むし歯になりやすい、汚れが残りやすいという部分がありますので、そのようなところを重点的にみがきましょう。正しい歯みがきの仕方を歯ブラシの持ち方からアドバイスいたします。お母さん向けに、仕上げの仕方などもお伝えします。
フッ素塗布は歯の表面を強くすることで、むし歯の発生やむし歯の重症化を予防する方法です。家庭で使用できる低濃度フッ素の指導や歯科医院で高濃度のフッ素を塗布するなど、フッ素を積極的に活用するのがむし歯の予防に効果的です。乳歯や生えたての永久歯は未成熟な歯の結晶構造なので特に効果的です。
奥歯の噛み合わせの面の溝はむし歯リスクの最も高い部分です。溝の一番深い部分は、お母さん方の点検磨きでも汚れが残ってしまいがちです。シーラントとは、溝の深い部分がむし歯になってしまう前に、歯を削ることなく、きれいに清掃した後にプラスチックの樹脂で溝を埋めてしまう予防法です。乳歯もですが、永久歯が生えてきたら順次シーラント処置を行っていくのが効果的です。
お子さんの歯は乳歯、永久歯ともに未熟な状態です。そのため、大人と違い、むし歯の進行が急速で、痛みを感じることが少なく進行していきます。ですので、初期のむし歯の段階で治療しないと歯の神経を取らないといけなくなることや、麻酔を使った処置が避けられなくなってしまいますが、定期検診を行うことによって、小さなむし歯の間に発見、治療することが可能です。また、生え変わりの時期では永久歯への交換がスムーズに行われないと歯並びにも悪影響がでてしまうので、定期検診でチェックしていく必要があります。もし、むし歯や歯並びの問題がない場合でも、定期検診の際にフッ素塗布やシーラント処置などの予防を行います。
歯周病とは、歯の周りの組織に炎症が起こっている状態です。炎症が歯肉だけに留まっている状態を「歯肉炎」と言い、炎症が歯槽骨や歯根膜にまで広がっている状態を「歯周炎(いわゆる歯槽膿漏・しそうのうろう)」と言います。歯周病の特徴は、痛みがなく静かに進行していくことです。歯茎に炎症が起き、歯と歯茎の間の「歯周ポケット」が深くなっていくと、腫れたり、出血しやすくなったり、物が噛めなくなり、歯がグラグラしたり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。近年、歯周病は大切な歯を奪ってしまうだけでなく、全身疾患とも深い関わりがあることがわかってきました。歯周病菌が肺や血液を通じて全身をめぐり、糖尿病や生活習慣病をはじめとする、様々な全身疾患を悪化させることが分かっています。
歯周病の直接の原因はプラークです。プラークは多くの種類の細菌が増殖してかたまりとなったもので、ブラッシングが充分でなかったり、砂糖を過剰に摂取したりすると、細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面に付着します。
プラークは粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。
歯周病の直接の原因はプラークですが、「口腔内の環境」や「生活習慣」の中には間接的に歯周病を悪化させるリスクファクターと呼ばれる危険因子が潜んでいます。歯周病が生活習慣病の一つと言われるのはそのためです。
このような方は歯周病になりやすかったり、進行が速い傾向にあったりします。歯周病予防には、適切な歯みがきでプラークを取り除くことが基本ですが、歯周病のリスクファクターを少なくすることも大切です。
歯茎に炎症が起き、歯との間の「歯周ポケット」が深くなります。痛みはまだありませんが、ブラッシング時に出血することがあります。
炎症が深まり、歯周病菌が顎の骨にまで達しています。歯周ポケットが深くなり、歯は動きはじめます。
顎の骨が半分以上溶けています。歯周ポケットがかなり深くなり、歯は更にグラグラの状態になります。ここまでくると、最終的に歯は抜け落ちてしまいます。
現状のブラッシングでどこが磨けていて、どこが磨けていないかをよく理解した上で、正しいブラッシング方法を学んでいきます。
歯石は歯面に付着したプラークに唾液中のリン、カルシウムが混じって石灰化したものです。歯に付着しておりそれ自体の病原性はありませんが、表面がでこぼこしていて、歯垢が付きやすいため、一般的に超音波スケーラーや手用スケーラーを使用して取り除きます。
歯槽骨の破壊が大きく、歯周ポケットが深い場合には、ポケットの外から盲目的に器具で歯垢や歯石を取り除くことは不可能です。このような場合には、歯肉を開いて見える状態にして、歯垢や歯石を取り除きます。また歯を支える歯槽骨が大きく欠損している場合、歯周組織を再生できる薬剤を用いて再生療法を行います。保険がきかない方法や材料などもありますので、気になる方はぜひご相談下さい。
治療が終わった後に、継続して良い状態を維持するために行うプロフェッショナルケアのことをいいます。歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(クリーニング)を定期的に行います。理想は2〜3ヶ月に1回、最低でも半年に1回は定期的にチェックを受けましょう。進行した歯周病の治療が終わった方は、1ヶ月ごとなどなるべく短いスパンで来院し、安定した歯茎の状態を管理していくことが大切です。
虫歯になると、歯のエナメル質や象牙質が虫歯菌から放出される酸によって溶かされ、進行すると歯の中心部にある歯髄(歯の神経)にまで到達し、激しい痛みを伴うようになります。歯髄は血管を含む歯の神経で、歯根に通る管状の空洞(根管)を満たし、歯の知覚と栄養供給を司っています。根管治療は、むし歯菌に感染した歯髄や細菌の固まりなどの汚れをきれいに取り除き、痛み・症状を抑える治療です。強い痛みを伴う虫歯があっても、きちんと根管治療が行われれば、ご自身の歯を残すことが可能です。
根管はとても細く複雑な構造をしているため、その治療は歯科治療の中で頻度が多いものの、繊細で難易度の高い治療の一つとされています。当院では、天然の歯を残すための根管治療に力を入れています。ぜひ一度ご相談ください。
根管治療は、歯科治療の中で頻繁に行われる治療であり、むし歯が進行して歯髄に達してしまった場合や、以下のような症状にも適応されます。
根管治療の適応症としては、次のような疾患があります。
歯髄炎は、虫歯が進行して歯髄に到達した場合や、過去に治療した部分から細菌が入り込んだり、外傷(交通事故、転倒、打撲・脱臼を含む)によって引き起こされる炎症です。歯髄炎には、可逆性歯髄炎(かぎゃくせいしずいえん)と不可逆性歯髄炎(ふかぎゃくせいしずいえん)の2種類があります。可逆性歯髄炎は、一部の歯髄が炎症を起こしている場合で、う蝕を除去することで正常な歯髄に回復することができます。不可逆性歯髄炎は、細菌感染を起こした歯髄を取り除く必要があり、抜髄(ばつずい)と呼ばれる治療が行われます。
歯髄炎を放置してしまうと歯髄壊死※となり、温度刺激による痛みを感じなくなります。外傷などで歯が脱臼した場合、歯髄壊死になることがあります。歯髄壊死の症状としては、触ってわかるような歯ぐきの腫れ、歯の変色、歯がしみなくなり痛みも感じなくなる、などが挙げられます。
※壊死は組織や細胞が死ぬことで、歯髄壊死とは歯髄(神経)が死んでしまうことです。
根尖性歯周炎とは、細菌が歯の根に達することで、歯と歯槽骨(歯を支える骨)の間にある歯根膜に炎症が広がる状態です。自覚症状はなくても、レントゲンで見つかることがあり、歯根の先にレントゲン透過像が認められます。この状態を根尖病巣(こんせんびょうそう)と呼び、炎症が慢性的になると歯根の先端部分に膿が溜まり、その膿が粘膜内に流れ出て歯肉が腫れることがあります。
そして根尖性歯周炎を放置していると、歯根嚢胞を引き起こす可能性が高くなります。その場合、根管治療だけにとどまらず、嚢胞摘出、歯根端切除術など外科的な治療が必要になったり、最悪の場合抜歯になる可能性があります。
根尖性歯周炎は、虫歯の放置によって起こることもありますが、過去に根管治療で神経を取った歯が原因で起こることが頻度として多いといえます。症状としては、歯ぐきが腫れて膿が出る、噛むと痛い、時々強い痛みを感じる、骨が溶けて歯がぐらぐらするなどがあります。悪化すると、細菌が顎などの周囲の骨にも影響を及ぼし、顎骨骨髄炎(がくこつこつずいえん)や骨膜下膿瘍(こつまくかのうよう)などの症状につながります。
歯の根管治療には、神経を取り除く「抜髄(ばつずい)」と、「感染根管治療」の2つのパターンがあります。
抜髄は、虫歯が神経にまで達し、歯髄炎の症状を起こしている場合に行われる治療です。歯髄炎の状態は、生きている細胞があるため、無菌的な治療が行えれば根管内に細菌がいない状態を作り出すことができます。
感染根管治療は、細菌によって汚染された根管内を清掃・消毒し、炎症を抑える治療です。放置すると、細菌が増殖して歯髄壊死や根尖性歯周炎を引き起こすことがあるため、適切な治療が必要です。また不適切な土台や被せ物がある場合は、再度感染することがあるため、注意が必要です。
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被せ物や虫歯の除去
まず、既存の被せ物や虫歯を除去し、根管内にアクセスします。根管内の歯髄を露出させるため、神経が残存している場合は麻酔が必要です。
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歯髄の除去
次に、根管内の歯髄を取り除きます。再治療の場合は、根管内に詰めた薬剤を取り除きます。根管は細かく複雑な構造をしているため、針のような器具を用いて徹底的に除去し、取り残しのないようにします。そして、根管内を拡大していき、根っこの先にたまった膿を出しやすくします。一本の歯に複数本の根管が存在する場合もあり、分岐した根管をそれぞれ拡大する必要があります。
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根管内の洗浄・消毒
汚染された歯髄などを除去した後、薬剤で根管内を洗浄します。そして、根管内に消毒薬を詰めて仮の蓋をし、時間を置いて消毒します。この工程を症状が改善するまで何度か繰り返します。
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根管充填
根管内がきれいに清掃・消毒され、症状が改善してきたら、根管充填(こんかんじゅうてん)を行います。ガッタパーチャと呼ばれるゴム状の樹脂やMTAセメントなどを使用して、根管内をしっかりと無菌状態で封鎖し、細菌が再び侵入しないようにします。ここまでが根管治療ですが、そのままでは噛めないので、歯の形態と機能を回復するための治療に入ります。
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支台築造
神経を除去した歯は、時間が経過すると歯質が弱くなり、破折しやすくなります。そのため、歯を金属や樹脂で補強する支台築造を行います。
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補綴
支台築造をしてできた土台の上から被せ物を取り付けて、歯の形態と機能を回復させます。
抜髄の場合は比較的短期間、少ない回数で終了することが多いですが、感染根管治療では根管内を清潔にするのに時間がかかるため、複数回にわたって治療を行う必要があります。根の治療は歯の土台となる大変重要な治療です。
当院では、拡大ルーペ、歯科用CT、ニッケルチタンファイル、MTAセメント、専用の防湿器具など、現在、根管治療に有用とされている設備(材料)や技術を積極的に導入し、より精密な根管治療を行っています。保険診療で取り扱えない場合もありますので詳しくはお問い合わせください。
根の中は大変細く、ミクロン単位の正確さが求められます。拡大ルーペにより、小さなものを大きく拡大して、1つ1つの繊細な処置を目で見て確実にできるようになりました。従来と比較すると、圧倒的に精密で質の高い治療を行うことができます。
歯科用CTは、歯のレントゲンを撮影することで、3次元の立体画像を得ることができる装置です。歯の根管は複雑な形状であり、数本に分岐している場合もあります。したがって、根管の清掃・消毒を正確に行うためには、根管の構造や病巣の位置・大きさを正確に把握することが必要です。そのために、歯科用CTが役立ちます。平面のレントゲン画像では確認できない細部も、歯科用CTの立体画像では詳細に把握できるため、より正確な診査・診断、治療が可能になります。
防湿は、治療する歯の根管内に唾液が入ることを防ぎ、唾液中の細菌が根管内に侵入しないようにする処置です。防湿は、根管治療の成功率を高めるために必須の処置といえます。
根管治療では、歯髄を除去するためにファイルと呼ばれる器具を使用します。ステンレスファイルとニッケルチタンファイルがあり、曲がりくねった根管にアプローチするか際、ニッケルチタンファイルは超弾性の性質を持ち、根管を傷つけたり、本来の形を逸脱することなく掃除ができます。
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは、根管穿孔部位を殺菌・封鎖するために開発されたケイ酸カルシウムを主成分とする歯科材料です。殺菌作用の他、石灰化促進作用やデンティンブリッジの形成、細胞を活性化する作用などが期待できるため、口腔内にむき出しとなった歯髄の保護や、虫歯などで歯の内部にあいた穴(パーフォレーション)へのリペア、根管充填剤(神経を取った後に詰める薬)として使われます。
予防歯科とは、年齢問わず歯の健康な状態を保ち、お口の中の状況が悪くならないように虫歯や歯周病を未然に防ぐために行う処置です。当院では、定期歯科検診はもちろん、ブラッシング指導、歯のクリーニング(PMTC・パウダーによる歯面清掃)、スケーリング(歯石取り)、フッ素塗布などを通じて予防歯科診療を行っております。
歯は一度失ってしまうと、二度と戻ってきません。一生の大切な財産と言えます。患者様の歯を1本でも多く残すことができるよう、予防歯科診療を行って参ります。
予防治療を積極的に行っていくと、お口の中の細菌環境が良くなっていきます。その結果、虫歯や歯周病が悪化しにくい状態になります。しかも、定期的に歯科に通うことで、過去に治療した部分のチェックやメンテナンスも行え、何かあった場合でも早めに対処ができ、ダメージを極力抑えることができます。
体の健康状態はお口の健康状態と密接に関係しています。定期的な予防治療を受けていると、お口の健康状態が良くなり、それが体の健康改善に繋がるのです。
また、歯に悩まされることが断然少なくなりますので、歯からくる心身的ストレスも感じることが少なくなりますので、定期的にお口の中のチェックをすることをおすすめします。
歯が悪くなってから治療を受ける場合、悪化しているほど治療そのものが大変になります。悪化しているほど治療費が高くなり、通院回数も期間も長くなります。何より失われた歯や骨は人工物での再建はできても、元通りにはなりません。神経のある天然の歯が1番長持ちします。予防を積極的に行う場合、定期的に治療費がかかるので、多くの方は「治療費が多くかかる」と思われるかもしれませんが、実は、削ったり被せたりというような治療が少なくなり、結果的には費用を抑えられます。
定期的に検診に通っていただいても、日常の歯磨きが適切でないとお口の中のトラブルが起きてしまいます。逆に言うと毎日の歯磨きが上手になれば、お口の中は快適に保てます。患者様のお口の健康のために、歯科衛生士から歯磨きの仕方を指導させていただきます。
PMTCとは歯科医院で受けられる専門のスタッフによるプロの歯磨きです。上手にブラッシングを行えていても、少しの磨き残しや、磨き方のくせで残った汚れがあります。数ヶ月に一度PMTCを受けることで、歯の表面がつるつるになるので、汚れがつきにくくなるというメリットもあります。
歯の表面に水とグリシン(アミノ酸)の細かな粒子を吹き付けて、従来の方法では落としにくかった汚れをしっかり落としていく、本格的な歯のクリーニングのことです。ジェットクリーニングとも呼ばれ、普段のブラッシングではキレイに洗うことができないブリッジの下やインプラントまわりの汚れなどもスッキリ落とすことができます。パウダーでの汚れ除去により、予防歯科効果をより高めることができます。
歯石は歯垢(プラーク)が石灰化してできた硬い塊で、歯磨きなどの通常のセルフケアでは落とせません。スケーラーという歯科医院専用の器具を使用して、歯の表面はもちろん、よく耳にする歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)内にある歯垢や歯石を除去します。これが「スケーリング(歯石取り)」です。予防としての目的だけでなく、初期の歯周病(歯肉炎)を改善する治療としても行います。
フッ素塗布やフッ素洗口をすることで、歯を強くし、虫歯になりにくくします。歯科用のフッ素には、ジェルタイプ、フォーム(泡)タイプ、洗口液などいくつか種類があります。患者様に合わせてお選びします。
虫歯や歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。このプラークは丁寧なブラッシングによって、大部分を取り除くことができます。ブラッシングは、磨き残しを防ぐため、1本1本の歯を優しく丁寧にみがくことが基本です。歯の表面をみがくとき、歯と歯茎の溝、歯並びが混雑しているところ、歯茎が下がっているところなど、テクニックが必要です。いずれも力を入れ過ぎないように注意しましょう。
歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスを使用すると落ちやすくなります。糸状のデンタルフロスは、歯と歯のすき間に通して汚れを落とします。ホルダーがついたフロスもありますので、使いやすいものを選択してください。
歯間ブラシは歯と歯の間や、ブリッジと歯茎の間の汚れなどを落とします。様々な太さの歯間ブラシがありますので、ご自分の状態に合ったものを選びましょう。前歯と奥歯で歯と歯のすき間が異なる場合は、それぞれ太さに合わせて使い分けます。
キシリトールは、虫歯予防効果が実証されている天然甘味料で、厚生労働省から食品添加物として認可されているほか、世界保健機関(WHO)や国連食糧農業機関(FAO)もその効果を認めています。キシリトールは、ミュータンス菌の増殖や歯垢の形成を部分的に抑える効果が期待でき、食後にキシリトール配合のガムなどを摂取することが虫歯予防に有効とされています。